- やるべきことが多くて大変
- あれこれと目移りして集中できない
- マルチタスクを強いられて疲れている
- シングルタスクってどうやれば良いの?
このような悩みにお答えする記事です。
日々多くのタスクを抱えているビジネスパーソン。
マネージャーにもなると、作業以外にも部下や上司とのコミュニケーションも増えます。
さらに育児や介護といった家族のケアもあれば、体力的にも精神的にも余裕がなくなる…
そんな同志のみなさん、毎日本当にお疲れさまです。
子育て真っただ中の中間管理職プロジェクトマネージャーで、多くのタスクに忙殺されていた筆者が出会ったのが『SINGLE TASK 一点集中術』
“マルチタスク”と“シングルタスク”
タスク管理の基本となるマインドセットについて、この本をもとに独自の考察を加えていきます。
“マルチタスク”と“シングルタスク”どちらに近いか?を診断できるページも用意しました。
まだ診断してない、という方は一度お試しください。
結論:一つ一つやっていくことがベスト
結論から言うと、一つ一つタスクをこなしていく“シングルタスク”がベストです。
というか、俗にいうマルチタスクをやり続けることはまず不可能です。
考えてみてください。
- メールを書きながら、エクセルでグラフを作る。
- お客様の電話問い合わせに対応しながら、プレゼンの資料を作成する。
できますかね?
AとBの作業を切り替えながらやることはできるでしょう。
しかし、同時並行は無理なはずです。
元々、コンピュータ用語であるマルチタスクは、複数のCPUコアで処理を分けて行うことで待ち時間を減らすことができますが、人間のCPUは一つしかありません。
人間が一つの脳でマルチタスクをやろうとすると、タスクを細かく切り替えて対応するしかありません。
この“タスク・スイッチング”がマルチタスクの正体です。
「人間はじつのところマルチタスクなどしていない。タスク・スイッチング(タスクの切り替え)をしているだけだ。タスクからタスクへと素早く切り替えているだけである。」
スタンフォード大学 神経科学者エヤル・オフィル博士
「何かをしているときに、別のことに集中することはできない。なぜなら二つのタスクの間で”干渉”が生じるからだ。人にはマルチタスクをこなすことなどできない。”できる”という人がいるとしたら、それは単なる勘違いだ。脳は勘違いするのが得意である。」
マサチューセッツ工科大学 アール・ミラー博士
マルチタスクは様々なタスクを気にかけながら常に気が散っている状態。
そしてマルチタスクには「えーっと、どこまでやってたっけ」という切り替えロスが少なからず発生します。
この切り替えロスにより、返って効率を落としている場合がほとんどです。
人間が生産性を上げるためには、“シングルタスクに一点集中”する。
基本的にこれしかありません。
このことは実際にあなたも経験しているのではないでしょうか?
さらに、単に効率を落とす以外にもマルチタスクをすることでの悪影響もあるのです。
脳への悪影響
マルチタスクを繰り返すことは脳への悪影響があることも研究結果から判っています。
・記憶力の低下
・IQの低下
・認知症のおそれ
マルチタスクを試みようとすると、情報処理能力を低下させるコルチゾールというホルモンが分泌され、ストレスが生じます。
過剰なストレスにさらされ続けると、脳のニューロン(神経細胞)が萎縮し、問題を解決したり、感情や衝動をコントロールする能力が低下するそうです。
このような作業の仕方をしていると、記憶力や認知機能にダメージを負うほどストレスが溜まってしまうというわけですね。
これは私も何度も経験があるんです。
お客様と電話打ち合わせをしながら、手を動かして、その内容を設計に反映。そしてお客様とその場で共有。
お客様は驚きを提供できますし、持ち帰りの作業が少なくなるのは良いのですが、疲労感がハンパないんですよね。
ただし例外的なマルチタスクはある
例えば、音楽を聴きながらエクササイズをしたり、会話をしながら家事をしたりするけど、それってマルチタスクじゃない?と思うかもしれません。
以下のようなタスクは同時に進めることもできます。
運動+認知課題を同時におこなう“デュアルタスク”であれば、認知症予防にも効果があると言われています。
「テレビを見ながら料理をする」
「友人と話しながら歩く」
このような、考えずにできる動作+考える動作は脳の様々な部分を活性化させる効果があります。
これは“慣れ”によっても左右されます。
普段から料理している人と、そうでない人。
普段歩いている道と、初めて通る道。
「ながら」でできる範囲が違いますよね。
しかし、集中力を要する複数の作業を同時に行おうとすれば、高い代償を払うことになります。
スーパータスカー(もう一つの例外)
マルチタスクによって脳に悪影響が生まれないレアな人々も存在するようです。
わずか2%存在するといわれる“スーパータスカー”
とある実験では、100人中1~2人「運転テスト」と「記憶力テスト」を同時に行っても成績が下がらない人が存在しました。
彼らの脳の仕組みについては現在研究中ということで詳しいことはわかっていません。
ただ、多くの人とは異なった構造をしていると見るべきなので、そこを目指すのは避けた方が良いでしょう。
シングルタスクに集中する方法
では、どうやってマルチタスクを避けシングルタスクに集中するのか?
シングルタスクを行っていくためには、次のことが大切です。
・頭の中の余計な雑念に邪魔させない
・外からの刺激をシャットアウトする
そのためには、「思考」「環境」「行動」をコントロールする必要があります。
思考については、ここまで読んできたあなたは、おおよそ理解できたと思います。
それでは、具体的な環境と行動のコントロールについて見ていきましょう。
スマートフォンを分離する
いまや私たちの生活になくてはならないスマホ。
電話、メール、チャット、カメラ、地図、など。
沢山の機能が、たった一つのデバイスに集約されていてメチャクチャ便利。
そんなスマホは、現代人が付き合い方を見直すべきものNo. 1です。
分離するための方法としては、
・ミュートにして通知もオフ。(家族など大切な通知だけオン)
・物理的に距離を置く(目の届かない場所に置く)
・おやすみモード機能を使う。
多くの現代人はスマホや他のデバイスからの通知に振り回されています。
モノにコントロールされるのではなく、自分がコントロールする感覚を持つことが重要です。
時間を確認しようとしただけなのに、LINEの通知が目に入ってしまったり。その次はTwitterとかね…
なんだかんだ、これが一番重要だと思いますね。
余計なものはパーキングロットに置く
1つのタスクをこなしているときに、余計な考えが頭に浮かんだり(素晴らしいアイデアの場合もあります)、別の要件に関するメールが来たりしてしまうこと、ありますよね。
そんなとき、それらをいったんパーキングロット=駐車場に置きます。
そして、目の前のタスクに集中できるようにするのです。
やり方は非常にシンプル。
- 自分専用のパーキングロットを用意する。
- タスクと関係ない事柄が発生したら、都度そこに書きとどめていく。
たとえば、PCで資料作成中に別件のメールに気付いてしまったら、フラグを立てたり、専用フォルダに移動させて、ふたたび資料作成に戻ります。
取り敢えずレスしたい!という人は、
”連絡ありがとうございます!いま取り込み中なので、1時間後に返信します!”
と定型文で一次回答しておけば、意外と問題ないものです。
チャットも同じですね。
パーキングロットはノート、スマホやPCのアプリなど、一元管理できるものを使いましょう。
タスクが多い人はマルチデバイス対応のタスク管理アプリを使うのがベストだと思います。
ただし、他アプリの通知に目を奪われてはいけません。
人の相談には5分間集中する
あなたがもし、シングルタスクに集中しているときに、上司や部下あるいは家族に「どうしても」という相談を持ち掛けられたら?
くれぐれも、耳と口だけを使い、“作業しながら” 話をするのはやめましょう。(それも一つのマルチタスクですね)
それよりも、“いまここ”にいる目の前の人を優先するべきです。
5分だけ、一切のよそ見をせず、その人だけに集中して話を聞く。
これが大事です。
そうすることで得られる信頼は、あなたがシングルタスクを続ける上で大切な土台になります。
ただし、その人が単なる時間泥棒だったとしたら?
その場合は、向き合った上で「ノー」ということも必要です。
他人に「ノー」と言うことは、自分自身が求めているものに「イエス」と言うことです。
類似タスクをまとめて片付ける
あなたが一日におこなうタスクの中で、似たようなタスクはありますか?
例えば、メールのやり取り、資料の作成、スケジュール調整など。
類似タスクをグループに分けて、ある時間帯にまとめて処理することで効率を上げられます。
「タスクが山積みになってしまった!」
そういう場合にも、「1×10×1」システムを使い、作業時間でグループ分けするのも有効です。
・1つにつき1分ほどで片付けられるタスク
・10分以内で片付けられるタスク
・片付けるのにおそらく1時間以上かかるタスク
グループ分けしたら、1分ほどで片付けられるタスクにまず着手。
次に10分以内で片付けられるタスク。
1時間以上かかるタスクは、作業時間を今後2~3日のどこかに予定として組み込むと良いです。
グループ分けの作業は、頭がクリアな朝イチでサクッとやってしまいましょう。
そして大事なのは、必ずすべてのタスクを予定に組み込むこと。
1点集中には「空白タイム」が大切
平日のスケジューリングの際には、自分のための「空白タイム」を設けましょう。
1日に2回程度、アポや他の予定を入れない30分ほどの時間です。
その時間に作業の遅れをリカバリーしたり、突発的な出来事に対応したりすることができます。
次から次へと途切れなく会議などが入ってしまうと、あなたのタスクは一向に進みませんし、上司や部下があなたを捕まえることも一苦労でしょう。
「空白タイムには自分のためのアポが入っている」と考えることが大事です。
シングルタスクのまとめ
ここまで読んでくださったあなたは、記事を読むというシングルタスクを見事に実行しました!(メチャクチャ嬉しい)
- 一点集中が生産性を最大化する。
- マルチタスクは私たちを疲弊させる。
- 脳が力を発揮できる環境を作る。
- タスクをまとめて集中的に処理する。
シングルタスクの最大のメリットは、「フロー」あるいは「ゾーン」に入りやすいことです。
「フロー」とは一つのことに集中している極限状態のことで、マルチタスクでは到達不可能な領域です。
特に、計画を立てたり文章を書いたり、深く考える思考系の仕事は、シングルタスクでおこなっていくべきです。
そのために、他のタスクの割り込みを排除して、集中する時間をまとめて取ることが大切ですね。
プロジェクトマネジメントで計画を立てるときやブログ作業をする際には、これがホントに大切なんです。
自分に合いそうだな、もっと深く知りたいな、と感じた人は
『SINGLE TASK 一点集中術』を、ぜひ手に取ってみてください。
アメリカの著名な講演家・実業家・ビジネスコンサルタントのブライアン・トレーシー氏もこう言っています。
「この方法はあなたの生産性とパフォーマンスを劇的に変える。本書は時間管理と自己管理についてあなたが生涯に読むものの中で最も重要な1冊になるだろう」
特にこちらのシングルタスク診断で、スコアが高い=マルチタスカー度が高い人ほど大きな効果が期待できます。
最後に
シングルタスクにしろマルチタスクにしろ、多くのタスクを実行していくにはタスク管理の習慣が必要です。
タスク管理の方法については、こちらの記事でご紹介しています。
無料で出来る。タスク管理の効率的なやり方!プロマネがこっそり教える実践的タスク管理方法
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
今後も定期的に記事を追加していきます。
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